中学・高校数学を厳密に議論する(関数の定義 編)

そろそろブログだけでなくて代数や解析や集合・位相のページもきちんと更新していきますかね・・・

さて、今回はいつにもましてかなりどうでもよい話なのですが。厳密な議論というか慣習の話です。先日、中学生用の問題としてこんなものを見つけました。

「底辺の長さがxcmの三角形の面積をycmとする。このとき、yはxの関数ではない理由を説明しなさい。」

はじめは、「関数」の定義を理解しているかどうかという点でとても良い問題だと思っていました。ところが、この問題はおかしいのではないかとふと思いました。確かに、面積は変数の底辺のみからなる「1変数関数」ではありませんが、底辺と高さを変数とする「2変数関数」と呼ぶのが通例だと思ったからです。

そもそも、(1変数)関数とは実数全体の集合(R)からRへの写像(あるいは、複素数全体の集合(C)からCへの写像)で、一般にn変数関数では定義域がR^nの直積となるだけです。関数は写像の一種であるということが大切です。中学1年生の教科書には、「xの値が決まると、それにともなってyの値もただ一つに決まるとき、yはxの関数であるという」と述べられています。

ところで、これは余談なのですが、私は大学生で複素対数関数logzに衝撃を受けました。logzの定義は

logz=ln|z|+iargz

であり、値は多価です。このlogzを多価関数と呼ぶのは、それまでの常識から逸脱していたからです。logzの定義から一般に可算無限個の値が存在します。さすがにこれを関数と呼んでよいのかは疑問に思いました。ただ、この手の話は、大学に入った途端に0も自然数として扱うことがよくあるのと同じようなもので、突っ込んで議論する価値もないような気がしますね。

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