(中高生向け)極限への誘い 円周率πともう1つの基本的な数

 あるところに、お金を預けると1年後には2倍になる銀行がありました(ちなみに、普通銀行にお金を預けて時間が経つと、ほんの少しだけお金が増えることがありますが、1年で2倍になる夢のような銀行は現実にはありません)。その間、お金は1次関数的に増加していくようになっています。具体的には、x年後にお金がy倍になっているとすると、y=x+1(0≦x≦1)となっているとします。つまり、半年(x=1/2)、6か月でお金をおろすと1.5倍になっていて、4か月(x=1/3)でおろすと1.3333…倍になっているという具合です。そんな銀行が開設され、多くの人はありったけのお金を持ってその銀行に押しかけ、1年間丸ごとお金を預けようとしました。ところが、それを見ていた賢いAさんは、そうはしませんでした。Aさんは、持っていた1万円を預け、半年後に一度お金をおろし、またその直後にお金を預けて半年後にお金をおろしたのです。半年後には1.5倍に増えるので15,000円になり、さらにその半年後には15,000×1.5=22500円になるわけです。そして、そのAさんを見ていたBさんは、「お金を預けることとおろすことを繰り返せば繰り返すほど、1年後のお金は増えそうだ」ということに気づきました。実際、4か月後、8か月後に一度お金をおろして直後に預けた場合、10,000×1.3333...×1.3333...×1.3333...=23,703.70370...であるので、1万円がおおよそ23700円になります。同様に、3か月後、6か月後、9か月後に一度おろした場合、10,000×1.25×1.25×1.25×1.25=24,414.0625であるので、1万円がおおよそ24400円になります。このように、おろす&預けることを繰り返せば繰り返すほどお金が増えることが分かりました。では、この銀行で、1日に1回、1分に1回、1秒に1回、いや、もっともっと極限までおろす&預けるの行為のスパンを短くした場合、どうなるでしょうか?このことをしっかり議論するために、ここまでの話を数学的にまとめます。

 x年後にお金がy倍になっているとすると、y=x+1であることから、

半年(x=1/2)ごとにおろす&預けたとき、お金は(1/2+1)×(1/2+1)倍、

4か月(x=1/3)ごとにおろす&預けたとき、お金は(1/3+1)×(1/3+1)×(1/3+1)倍、

3か月(x=1/4)ごとにおろす&預けたとき、お金は(1/4+1)×(1/4+1)×(1/4+1)×(1/4+1)倍

となるので、スタートも含めて全部でn回預けたとき、すなわちx=1/nのとき、お金は

(1/n+1)^n倍、つまり(1+1/n)^n倍となります(^nはn乗を表します)。そして、いま考えることは、(1+1/n)^nのnを極限まで大きくすれば、(1+1/n)^nの値はどうなるのか?ということです。

 結論から言ってしまうと、(1+1/n)^nのnを限りなく大きくすると、ある値に限りなく近づくことが分かっています。ここでは、その値をeとしましょう。つまり、(1+1/n)^nのnを限りなく大きくしたとしても、(1+1/n)^nの値は限りなく大きくなるわけではない、ということです。ちなみに、このeの値は、2.718281828…であると知られています。つまり、上で考えた銀行では、1年間で1万円は27,182円までなら増やすことが出来る、と言うことになります。

 では今から、nを限りなく大きくしたとき、(1+1/n)^nの値も限りなく大きくなることはなく、ある一定の値に近づく理由を考えていきます。

 (1+1/n)^nがある一定の値に近づくことは、(1+1/n)^nはnの値が大きくなればなるほどこの式の値も大きくなること(全ての自然数nに対して、(1+1/n)^n<(1+1/n)^(n+1))と、ある値Mが存在して、全ての自然数nに対して、(1+1/n)^n<Mとなること(つまり、ある一定の値以上は大きくならないこと)が言えれば証明できます。

すいません。これ以降の文章は、また後日時間のあるときに編集して書きます・・・

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