新高校生へ向けてのアドバイス

 中学校まで数学は比較的得意だと思っていても、高校でつまづいてしまう人は多いです。中学校時点で苦手意識を持っていた人はなおさらです。もちろん、「こうすれば絶対に数学の勉強に困ることなく大丈夫だ!」という対処法はありませんが、つまづきやすいポイントの対策について少しだけアドバイスをしたいと思います。

 まず、計算力をつけるために計算練習をしましょう。高校数学では、計算が大事ではないのに、計算力が必要だからです。簡単に言うと、計算ができるのは当たり前の世界で、計算で苦しんでいる場合ではないということです。例えば、昔話の桃太郎がどんな話か聞かれたらどう答えるでしょうか。おそらく、「あるおばあさんが川へ行ったときに桃が流れてきて、その桃から子供が出てきた。おばあさんたちはその子供を桃太郎と名付けた。成長した桃太郎は動物を連れて鬼ヶ島へ鬼退治に行った。」みたいな感じだと思います。ところが、初めて桃太郎の話を読んだり聞かされた時は、こんな簡単な文章ではなかったはずです。時によっては「どんぶらこ」という擬音語なんかも使いながら、色々な表現技法を用いて話を展開していますよね。でも、桃太郎の説明をするときは、そんな細かい表現に気を取られることなく、全体のストーリー(流れ)を話すはずじゃないですか。であれば、数学の問題の解答を説明するときも、それと同じように全体のストーリーが説明できるようになってほしいのです。しかし、計算力がない人は、一行一行の計算に労力を使い、気を取られ、結局全体を通して何をしているのかということをつかめないんです。これが、「計算が大事ではないのに、計算力が必要」という主たる意味です。中学校で習った計算問題・等式の変形・方程式を解く問題などをスラスラと解けるようになりましょう。途中で手が止まるような計算力では太刀打ちできません。分数の計算に戸惑っている場合でもありませんよ!

 次に、問題を解くときは、その過程を書く習慣をつけましょう。中学校まで、特に高校入試の数学の問題は、最終的な答え、すなわち結論を解答欄に書く形式が多かったかもしれません。なので、過程を書く習慣が身についていない人がほとんどです。ところが本来数学は、結論が大事なのではなくて、その結論に至るまでの過程・流れそのものが大切なのです。なぜかというと、数学の事実(ある定理・公式が成り立つという意味での事実)は、自分で納得ができるものだからです。例えば、明智光秀が織田信長を殺したという事実は、ほとんどの人が知っていることでしょう。ところが、それを実際に見たうえで知っているという人が今いるでしょうか。実際に見てもいないのに殺した事実を知っているのは、社会の先生が言ったことや、教科書に書いてあったことを正しいはずだと信じているからなんです。でも、数学のある事実が正しいということを感じるには、信じる必要はありません。例えば、三角形の内角の和が180°であることは、自分で納得ができることです。外角を一つ作り、その外角から向かいの辺と平行な線を引けば、平行線の同位角や錯角が等しいことを使って、三角形の内角が一直線に集まることが分かります(このやり方は必ず教科書に書いてあるはずです)。このようにして「三角形の内角の和が180°だ」と分かったのは、信じたわけではなく納得したからです。さらに、このような納得をするためには、理科のように実験器具もいりません。だから、「三角形の内角の和が180°だ」という結論だけが大事なのではなく、「平行線の同位角・錯角は等しいことを利用すれば、三角形の3つの内角が一つの直線に集まるから、180°になる」という過程そのものに価値があるわけです。過程に価値を見出す数学を勉強しているのだからこそ、問題を解くときは過程を書くべきなのです。とはいえ、ひとことに「過程を書く」と言っても、どのように書けばよいかすぐには分からないはずです。まずは、教科書の解答などを読んでまねて書いてみるのもアリだと思います。「過程を書け」というと計算を書くんだと思ってしまう人がいますが、それは間違いです。ちょっと難しい言葉を使うと、論理展開を書くのですが、それをここで説明したところで仕方がないので、やはり初めのうちは教科書に書いてある解答をまねてみましょう。

 もちろん、上にあげた2つ以外にも大切なことはありますが、高校に入学した今のうちはとりあえずこれらを意識して頑張っていきましょう。頑張る高校生を応援しています。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • はくちょう

    2022.07.08 10:27

    @adgjmptwいえ、私が書きたいことをズラズラと書いただけです。頑張ってください!
  • adgjmptw

    2022.07.07 09:46

    ありがとうございますm(_ _)m